素材・繊維を知ると編み物がもっと楽しくなる(ウール編)

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大久保 千聖

編み物の毛糸には、さまざまな素材(繊維)が使われています。
素材の種類はとても多くあり、1つの素材をとっても奥が深いです。編むのに適した糸が選べたり、編む素材によって編み心地が変ったり、編んだ後も扱い方も素材によってさまざまです。素材を知ることで編み物が楽しくなりますよ。今回は一番よく使用するウールについてご紹介します。

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ウールの品質は繊維の太さで決まる

羊の毛からとれる繊維をウールと言います。ウール・羊毛・WOOLなどの呼び方がありますが、すべて同じ意味です。羊の種類によって、毛質が異なるのが特徴です。また1頭に羊からでも、皮膚に近い部分の毛は柔らかく、表面の毛は固いです。刈ったばかりのウールです。色もですが、混在しています。

選別して、洗って梳かしたウール。繊維が揃ってとてもキレイです。この状態から糸に加工します。

ウールは毛の繊維の太さで分類・ランク分けされています。μ(ミクロン)という単位を用います。繊維が太い糸は固く、繊維が細い糸は柔らかいです。

繊維が細いほど高品質とされていますが、使用用途に合わせてウールの品質を選ぶことが必要です。
固めのウールとしてブリティッシュウールまたは、英国羊毛。柔らかいウールとしてメリノウール(23.0μ)が有名です。また、ラムウールは子羊の毛なので柔らかいです。

なんでも細い繊維いいとは限らない

マフラーやストールなどの直接肌に触れるものは、毛が柔らかい方=繊維が細いウール(メリノウール・ラムウール)がいいです。
靴下は、柔らかいウールを使うとだれてしまったり、強度が弱く履いているうちに穴が開いてしまったりと向いてません。靴下などを編むときは、固いウール(ブリティッシュウール・英国羊毛)がおすすめ。
同じウールなのに、編み心地や仕上がりがことなるので、糸を選ぶのも楽しくなりますよ。

ウールの最大の特徴「クリンプ」

ウールの温かさの秘訣でもある「クリンプ」とは、ウールの毛に現れる自然の縮れです。人間の髪の毛でいうとくせっ毛のような感じです。このクリンプがあるおかげで、ウールの製品は約60%も空気を含み、断熱性に優れ、とてもあたたかいんですね。人が暖かさを感じるということは、より多くの空気を身に着けていることによります。ふかふかの羽毛布団が暖かく感じるのと同じです。

縮れが多きほど、繊維は固くなりますが温かさが増します。クリンプの多さは羊の品種によって異なります。縮れが多いウールを選ぶと、なわ編み柄などの柄がよく目立ちます。なわ編み柄の多いセーターを作るときは、クリンプの強いウールがおすすめです。

呼吸する繊維ウール

ウールは以外にもとても吸湿性に優れていて、コットンの約2倍の吸湿性があります。
吸湿性があるということは、呼吸をするということです。呼吸するとどんないいことがあるでしょうか。

例えば、雪山で遭難したとき、「肌着にウールを着用しているかどうかで生死がわかれる」とよく言われますが、そのくらいウールは汗を吸うだけでなく、発散させて汗冷えしないようにしてくれます。

また、繊維についた匂いを吐き出してくれる効果もあります。
洗えないニット製品などは、お風呂場の蒸気(湿気)をたくさん吸わせ、その後自然乾燥(湿気を吐き出します。)させます。すると匂いが消えています。洗濯が出来ないときの匂い取りにも使えます。

ウールってすばらしい素材なのを実感する瞬間でもあります。

ウール好きが集まるイベント

ウールについてもっと詳しく知りたいという方には、スピニングパーティーというイベントがおすすめです。
スピンドルと呼ばれる羊を紡ぐ を趣味にした方が集うイベントです。多くのウール原毛や羊好きさんが集まります。ウールを使った毛糸もあるので、毛糸を使った趣味 編み物や織物・染色などのブースも多くあります
。公式サイト:https://tokyo-spinningparty.org/

毎年9月ころに開催していますのでぜひ遊びいってはいかがでしょうか。

記事を書いた人

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大久保 千聖

文化服装学院ニット科卒。ニットの会社で働いています。
小さいころから、編み物が好きです。編み物って楽しいですよね。編み物の楽しさを多くの方に知って頂き、編み物の楽しさを広めたい!と手芸ブランド「60ろくまる」をスタートしました。趣味はもちろん編み物。ほかにステンドグラスを作ったり、頻繁に旅行に出かけます。

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