編み物をする際には糸の太さによって、道具のサイズを変えて調整しますね。
ニット製品なども、細い糸が編めるハイゲージの機械から太い糸が編めるローゲージの機械 まで多くの機種があり、素材にあったゲージの機械でセーターなどが作られています。
(ゲージとは1インチに編み針が何本入っているかでゲージが分けられています)
家庭用編み機の場合
細機、中細機、太機と大きく分けてあります。
現在は、太い糸を編む太機と中細位の糸を編む機械の2種類を主に使われている方が多いのではないかと思います。
私も主に上記の2種類の機械を使用しています。
糸の太さによって適正ゲージで編める機種を決めるのですが、工業用の編み機とは違い機械が限られるため 編める糸も限られることになります。
今回使う糸の場合、1本取りであれば太機の適正ゲージになり問題なく編めますが 、2本取りで編む場合には、糸が太過ぎて度目が詰まり過ぎてしまいました。
これでは編み目がかちかちで、糸の良さが活かされず希望の度目ではありません。
度目を甘くしたりきつくしたりと調整するダイヤルもありますが、これ以上甘くすることはできません
このダイヤルで33段階以上調整可能なので、結構な幅の広さの調整が可能なんですね。
それだけ細かく度目調整できるくらいニットの度目って大切なんですよね。
更に太い糸が編める編み機があればよいのですが。。。
手編みで編めば問題なく好きな度目にして編めますがどうしても機械で編みたい!!
このように糸が太すぎて通常の機械で編めない!度目をもっと甘くしたい場合の方法として、
’’針抜き’’という編み方があります。
針抜きとは?
名前の通り、全部の針を使うのではなく針を抜きます。抜く=使わない針を用意する
針を抜いたことで 針と針の間に空間が生まれます。
●針抜き編機の編み方
編み機の針を抜き、編みます(今回は1目針抜き=1×1針抜き)
※ 裏目です
表からみると編みあがりはこのような感じです
目が小さく糸の渡りがみられます
これは、太機は3ゲージなので針を1目置きに抜いたことで1.5ゲージとなり編めることになりましたが
針の太さは3ゲージのままなので編みあがりの編地が下記のように目が小さく糸の渡りがみられるような編地が出来るのです。
編地は縦に伸ばすと目が落ち着ついてきます
右側を縦に伸ばしてみました。針抜きの編地の目がみるみるとふっくらした編み目になるのがわかりますね。
編み目が緊張が解れたよ~と言っているかのよう
針抜きをすることで、限られたゲージの機械の中で編めるようになり生産する事が可能になることに!
工業でも適正な機械をもっていないなど、理由は様々ですがこのような技法を使い製品を作ることがあります。
針を抜いたことによるデメリットとして
編み物特有の目を立てて減らしたり増やす際に糸や針にかかる負担が大きくなります。
下記の写真は目を増やそうと編み目を右側に移しているところです。
針の間隔が広く針の移動距離が大きいため、糸が引っ張られ編み針に負担がかかります。
あまり無理をすると針が曲がることも(^-^;
デザインによってはニットの特徴のファッションマークが入れれず、端目の減らしや増やしになることも。
それと、例えば1本おきに針を抜いた場合 200本ある機械の針が半分の100本しか使えなくなる事になるので、編み幅が限られることになります。
適正の機械を使えば編めていた編み幅も出せないことになるので、幅の広いものを編みたい場合は接ぎを入れたりとデザインも考えなければならなくなります。
針抜きの糸の渡りを利用して、デザインポイントにしても!!
糸の渡りが長いと引っ掛かりの原因にもなることも!普段着には取り入れずらいかもしれませんが面白い編地を作ることが出来ます。
機械を使わないと針抜きという言葉は聞きなれない編み方かと思いますが、ニット独特の手法なのでご紹介しました。
ではまたよろしくお願いいたします。